インナーブランディング

インナーブランディングの目的とは

インナーブランディングという概念は一般的に、企業ブランドの価値や目指す姿を社員に理解させ、行動レベルで浸透させる活動のことを指します。こちらの記事でも書きました。 

https://office-ennichi.com/three-companies-explain-successful-cases-of-inner-branding-the-secret-to-success-was-quantity/

インナーブランディング研究の第一人者である大妻女子大学短期大学部 甲斐莊 正晃(カイノショウ マサアキ)氏の定義による

しかし、掘り下げていけばもっと深いレベルでの取り組みが当てはまることがわかります。改めてインナーブランディングを行う目的はどこにあるのでしょうか。掘り下げていきたいと思います。

ブランドという言葉を改めて紐解く

ブランドとは、定義する視点が複数あり、いまいち掴みづらい概念である事は否めないです。

そこで、ブランドの視点から捉えるかというところから分解して見てみます。

名古屋経済大学 徐 誠敏 准教授によると、ブランドには二つの定義があります。

  • 製品ブランド :主に顧客・見込み顧客を対象とする PB の視点
  • 企業ブランド :(企業それ自体のブランド)

従来はブランドの対象を製品・サービスのみに限定されてきました。(製品ブランド)しかし、その定義の幅は広がってきています。

製品ブランド

ブランド論の大家であるフィリップ・コトラーは以下のように定義しました。

ブランドとは、販売者又は販売者グループの商品又はサービスを特定させ、競争者のそれらと識別することを意図した名前、用語、符号、シンボル、若しくはデザイン、又はそれらの組み合わせである

これに対して、企業ブランドという考え方は「企業それ自体にブランド」という考え方になります。

企業ブランド

片平 秀貴によると、ブランドとは,ヒト・モノ・カネ・情報に次ぐ「第 5 の経営資源」である.それは経営者のみならず,企業(組織のメンバー)や顧客や社会におけるステークホルダーたちを統合する媒体であると同時に,圧倒的存在感(シンボル)であり,他では味わえない独自の世界である

ということ。

従来の製品ブランドでは、顧客にたいして「イメージ」を植えるける事が主たる機能であり、短気的な視点で「広告」のように捉えられてきた傾向があります。

しかし企業ブランドという新たな視点が出てきたことによって、企業イメージそのものがブランドになり得ることが認識され始めました。

商品やサービスのブランド化は従来は広告のように流れて行くフロー型のコミュニケーションで事足りる、という認識がされがちであったが、企業ブランドとなると、それは中長期型のストック型のコミュニケーションになってくる事となりました。

つまり、ブランドとは組織が長い時間をかけて戦略的に構築をしていくものであるべきであるという考え方が主流になっています。

ここでやっとインナーブランディングの考え方が出てきます。

インナーブランディングの目的

企業ブランドを構築する際に避けて通れない視点が組織内のブランディングであり、インナーブランディングとは企業ブランディングの一環として捉えるとスッキリと理解しやすいです。

既存顧客や潜在顧客に接点となる部分だけではない部分にまで、ブランド構築を行なっていく取り組みであると言えます。

http://www.ssm-gcbm.com/pr/pdf/cbd1.pdf を参考に作成

つまり、インナーブランディングの目的は企業ブランドの構築の一環である。といえるのではないでしょうか。

7sフレームワークで捉えると、スッキリしませんか?共有の価値を中心に、7つのSが整合がとれている状態をデザインするのがインナーブランディングであると私達は考えています。

改めて、インナーブランディングの目的は「企業の理念/ビジョンの浸透」にとどまらず、経営の全要素を網羅的に凝集性を高めること。とここではまとめてみました。