以前、インターナルコミュニケーションにおけるビジョン共有力が、企業業績の源泉である、 という調査結果から記事を書きました。
今回の記事では、ビジョン共有力を分解して具体的に説明します。
ビジョン共有力は以下の項目に分解することができます。
1 現場感覚を持ち変革を推進する経営トップ
- 耳の痛い情報にも積極的に耳を傾け状況把握や原因究明を徹底している
- 経営環境の変化を敏感に察知して柔軟に対応している
- 長期的な視点から会社の成長のための布石を打っている
- 新しい提案を積極的に取り上げている
- 経営層の意思決定は従業員に信頼されている
2 ビジョンを体現し浸透させる経営トップ
- 経営理念や方針を折に触れて語っている
- ビジョンや戦略を本気で実現しようとしている
- ビジョンや方針を発表する際その背景や意味についても説明している
- 業績向上だけでなく会社が社会に果たす役割を意識した意思決定を行っている
3 ビジョンをブレイクダウンし浸透させる中間管理職
- 会社部門管轄組織が将来実現したいことや目指す状態について折に触れて周囲に語っている
- 常に会社の理念に沿った意思決定を行っている
- 事務所のことだけにとらわれず広い視野で問題解決にあたっている
- 役所の優れた取り組みは成功事例を積極的に職場で共有している
1 現場感覚を持ち変革を推進する経営トップ
トヨタの事例
耳の痛い情報にも積極的に耳を傾け、状況把握や原因究明を徹底している
トヨタでは Bad NEWS first が定着しています工場で問題が発生するとすぐに現場の従業員が生産ラインを止める。
これは個人を追求するのではなく問題を引き起こした真因を明らかにするためです。
花王の事例
化粧品の押し込み販売という不祥事がありました。当時の社長だった今年は東京証券取引所に発表し責任を明確にして処理をされた 。
悪いことをきちんと報告しないと悪いことをやってもいいのではとなってしまうことを恐れたと言います。
https://toyokeizai.net/articles/-/10479
2 ビジョンを体現し浸透させる経営トップ
ビジョンや理念の浸透でよく行われるのが経営トップ自らが社内を回って行うワークショップです。
花王では2005年から四半期に一度ずつ様々な部署の社員を集めて 自由に議論をさせるといいます。
その場では社員によって、経営理念を体現したストーリーが共有され、これらのストーリーは経営トップによって他部門で共有され伝播していくといいます。
これぞ、まさにインターナルコミュニケーションです。
わたし
私もこれを人事の時代に実践しました。
私はサラリーマン時代にとある専門商社の人事をしており、4人から5人の車座で社長を取り囲んで、理念や価値観をざっくばらんに語ってもらう場を設けて運用しておりました。
小さな会社だったのですが、四人ずつくらいで、現場を回り、合計 20回程度実施。
社長が毎回同じ話をするのを聞いておりますうちに、社長の考え方、価値観や、社長の過去の個人的なことまですごく理解するようになりました。
実は社員よりも、人事の担当者の私が一番よく理解していたかもしれません。
インターナルコミュニケーションはそれぐらい行って、 理解度が上がっていくものなんだろうと実感した事例でした。
同じ話を何度も聞くので、いやが応でも理解が進んでいくわけですね。
参考にしたのは、日本の従業員1000人以上の大手企業とその事業部194組織を対象にした大規模調査を元にした書籍です。
野中郁次郎 日本の持続的成長企業
優良+長寿の企業研究