インナーブランディング

社内ラジオの事例、検討の動機や結果を公開

こんにちは、オフィスエンニチの高間です。事業者として社内ラジオのDJをしています。
社内ラジオはまだまだ一般的になっていませんが、合理的である上、社内の労力が少なくて済むので、紙や、ウェブで社内報を行っている会社であれば、 ぜひ検討に加えていただきたい施策の一つです。

こちらの記事では、オフィスエンニチで取り組んだ事例、検討頂いている事例も含めてご紹介したいと思います。

他社の事例などは Google 検索でいくらでも出てくるのですが、事業者として実施した社内ラジオの成功、あるいは失敗の事例は生のレポートになります。
これから社内ラジオを、検討している企業様にとっては参考になるかと思います。

社内ラジオの事例

当社オフィスエンニチは社内ラジオを事業として請負い、運営する専門事業者です。代表の高間が2021年に個人として事業を開始し、2023年6月、株式会社として生まれた新しい会社です。

2024年現在、同様の事業を展開している事業者様は現在おられないようです。これまで多くの顧客と接してラジオ番組の事例を経験する機会を頂戴しました。

現時点での気づきを申し上げますと、社内ラジオで、上手にインタビューしても社員の本音やリアルな声は出てきません。より、深く心に染み込むコンテンツを作ろうと思うと、お客様側での仕事も相当程度出て来ます。

ラジオでシェアするための本音を直接聞きに行き、アンケートをとり、ヒアリングを行うことで初めてリアルな声を拾うことが出来ます。これをしないと、微妙に的外れなコンテンツが続きます。

定期的に社員様に社内のヒアリングを行ってもらうことで精度が上がります。2024年現在、事業者として多くのお客様から事業としてラジオの運営を頂戴しておりますが、そこまで完璧に出来ている会社様は少ないです。それでも続けていただいているお客様に感謝しつつ、事例の紹介を致しますね。

社内ラジオはシンプルな仕組み

社内ラジオは社内でDJを立ててトークをするのてすが、社内でやる理由は以下のようなものがあるかと思います。

  1. 社長の声を社内に届けたい
  2. 社内のコミュニケーションをより良くしたい
  3. 他部門をもっとよく知りたい
  4. 社員をよく知りたい
  5. 社内の文化を醸成したい
  6. 理念浸透

これらを社内だけではなかなか回しづらさを感じる場合には是非、社外の事業者を使うという発想を持ってくだされば嬉しいです。

エンニチの事例では、
上記の①~④の目的でラジオをつかう、という使い方をしているお客様と、②のみを目的に使用を検討しているお客様もおられます。運用の目的は様々です。

さっそく事例を紹介

事例1

大阪市生野区の靴製造業のリゲッタ様では、週に2回、社長とラジオ番組を発信してきました。一回あたり20分です。この記事の最後に取り組みの結果も記載しました。

社内ラジオのトークの様子
目的
  1. 社長の声を社内に届けたい
  2. 社内のコミュニケーションをより良くしたい
頻度 週2回(20分)
運営のやり方 社長と二人でトーク/副社長と2人で司会を務め、ゲストに社員をお呼びする
コンテンツ 社長の考え方/会社のトピックス/社員へのインタビュー/健康情報の発信
期間 2020年9月~2022年11月
結果
  • 社長の考えを理解できた社員6割超
  • 社長の考えに共感した社員5割近く
  • 他部門への理解が深まった社員6割超
  • 意識や行動に変化があった(ラジオを聞いた)社員の8割

この企業様では190回以上行いました。こちらの企業様では、「コンテンツのマンネリ化」による「ラジオ離れ」も経験いたしました。

そもそも、頻度が高く、ネタづくりを社員様のエピソードで回しているため、出演社員様が少ないと、同じ人物が複数回登場することになり、飽きてしまう、という現象が。企画は顧客企業様との二人三脚で、緻密に考えていきたい部分です。

※ ちなみに、社内ラジオを行った結果、については、こちらの記事に詳しく書きました。
https://office-ennichi.com/amazing-result-of-radio-programs-podcasting-ceosvoice/

事例2

住友ゴム工業様では、不定期で、月1回~2回程度、運用しております。在宅ワークで、新入社員が会社に馴染めないという課題にハマったのが社内ラジオ。20分程度の番組を制作し、Teamsで社内にお知らせを致します。

ラジオが社内で話題になり、サンテレビに取材された
目的

②社内のコミュニケーションをより良くしたい

⑤社内の文化を醸成したい

在宅ワークで若手社員が会社に馴染めないため、コミュニケーションを活性化したい
頻度 月1回~2回(20分)
運営のやり方 社員のDJとオフィスエンニチの高間が二人で司会。社員様にゲストに来ていただく
コンテンツ

・社員のパーソナルな事柄を聞き取る

・社員のちょっとした悩みなどを取り上げて雑談するコーナー

「サラリーマン人生相談」

・占い

・音楽

期間 2021年12月~
結果
  • 社内で話題になり、6~7割程度の社員が聞いている
  • 社内のイノベーションアワードで最優秀賞を受賞
  • 出演者が社内で声をかけられた
  • 住友ゴム工業様が神戸新聞/サンテレビに取材をされた

また、平均年齢も高く、普段からコミュニケーションを頻繁に取れていないと若手がベテランに仕事の依頼をするのに躊躇してしまい、アクションがワンテンポ遅れることがある。
という課題にもうまく機能しているとのことです。

事例3

IT企業様(1000人程度)

スクラッチでシステムを販売する営業形態から、サブスクリプション型に切り替えられました。営業の仕方が大きく変わるため、インナーブランディング部門を立ち上げて、働き方や価値観を様々な方法で社内に発信。ラジオもその施策の一つとして取り入れていだきました。

目的

⑤社内の文化を醸成したい

頻度 2本/月
運用のやり方 ・社員をゲストにインタビュー形式ですすめる
コンテンツ

・社内で話題の人物や話題になっている渦中の人物を取り上げる

・社外の活躍人材にスポットライトをあて、マインドを学ぶ

・サンクスシェア

期間 2022年7月~
結果

・開始直後から反響が大きくインタビューの依頼もくるように

・インナーコミュニケーション施策として、ウェブや動画も行っていたが、2024年現在、ラジオだけ継続して取り組んで頂いている

一緒にDJを行ってくださっている社員様は元プロのDJ。また、インナーブランディング部門のチームがしっかり企画をしてくださっていて、番組のテイストも、「楽しい雰囲気づくり」にこだわりを持っていらっしゃいます。社外のゲストも呼んで収録を行うこともあります。

事例4

ダイサン・様(100人程度)

名古屋の企業様です。クレド(理念)を浸透させたいという思いで始められた会社様です。

目的

⑥理念浸透

頻度 月2回(20分)
運営のやり方

社長様/社員DJ/オフィスエンニチの高間が3人で司会。社員様にゲストに来ていただく

コンテンツ

・クレドの内容の深掘りや、活躍社員の行動や思考などを深ぼる

・音楽

・社長に質問コーナー

期間 2022年10月~
結果
  • 社内で話題になり、一人で何回も聞いてくれている
  • 出演者が過去回を必ずチェックしている

事例5

保守サービス業務・部品販売業様(1000人程度)

大手企業グループ会社様です。2023年より運用を開始。

目的

②社内コミュニケーションの活性化

⑤社内の文化を醸成したい

成功事例の共有、上司・部下で課題を共有できる社風づくり

頻度 1本/2ヶ月(不定期に配信)
運用のやり方 ・社員をゲストにインタビュー形式ですすめる
コンテンツ

・部門や人物の紹介

期間 2023年1月~
結果

社長と副社長にインタビューを行った内容が反響をよび、社内の話題に。コンテンツへのリクエストも。

今後の運用に期待です。

事例6

鉄鋼大手様(40,000人程度)

2023年より運用開始。事業所では多くの社員が働いておられ、横のつながりは強くないとのこと。他部門でやっていることも深く理解されにくく、理念やスローガンなども浸透しづらいため、ラジオ番組形式の社内報は理にかなっている、と導入。

スタート当初から社内で反響があり、2024年になった現在では、

目的

②社内コミュニケーションの活性化

頻度 2本/月(予定)
運用のやり方

社員様とオフィスエンニチの高間がDJを行う。そこにゲストに来ていただく

コンテンツ

・部門の仕事や裏側、人柄にスポットライトをあてる

・社員のちょっとした悩みなどを取り上げて雑談するコーナー

「サラリーマン人生相談」

・音楽

期間 2023年4月~
結果

・ラジオに出演することがステイタス(?)になるくらいの場になる

事例7

大手文具メーカー様

自社で何でも運用できる能力をお持ちの企業様です。社長の声を動画で社内に発信することも根付いていて、さすがだな、と関心いたしました。

社員の人となりや、現場を知る機会のためにラジオは良さそうだ、ということで導入頂きました。

目的

②社内のコミュニケーションをより良くしたい

頻度 1本~2本/月(予定)
運用のやり方

社員様とオフィスエンニチの高間がDJを行う。そこにゲストに来ていただく

コンテンツ

・現場の紹介や仕事内容、人柄などを紹介していく

・社員のちょっとした悩みなどを取り上げて雑談するコーナー

「サラリーマン人生相談」

・音楽

期間 2024年4月~
結果

Slackを使って社内に発信。そもそも見つけてもらう事自体がなかなか難しいという壁にあたっている。口コミですこしづつ広げているが、コアなファンが出来ている

事例8

大阪市内 証券会社様 200名

新しい取り組みに前向な会社様です。もともと、社内報がなく、社内のコミュニケーションのベースを作りたいということで導入頂きました。

目的 社内の情報共有の場
頻度 2回/月
運用

・社長 + 若手社員様 + オフィスエンニチのDJを2人

・総務部門の課長様がプロデューサーとなって頂き、毎回のネタを一緒に考える

コンテンツ

・「この人はすごい」という人にスポットを当てる「隣の匠」

・支店の特集

・社長への質問コーナー

・インタビュー

期間 2023年10月~
結果 2024年現在までに12本の番組を制作。社内でも評判になっている。

事例9

インフラ大手 グループ会社様(1000名)

会社の事業が多岐に渡っている。それぞれの部門で独立していて、連携する必要も高くないが、離職もある。社内の横グシを指したい。

目的 会社への愛着を促進したい
頻度 1回/月
運用

・社内にラジオ班ができ、(主に動いて下さるのは5名)このメンバーと企画を立てる

・ラジオ班のメンバーが交代でDJを行う

・収録は社長 + 社員様のDJ + オフィスエンニチから2名

コンテンツ

・ゲストインタビュー

・社員のちょっとした悩みなどを取り上げて雑談するコーナー

「サラリーマン人生相談」

期間 2023年12月~
結果 これから浸透

 

事例10

社員300人の製造業様(検討中)

社長の声が出て社内に届かない。管理職層には届くが、管理職層の都合の良いように丸められてしまい、全社に行き渡らない。

こちらの会社様では社長の声を社内報のように毎週、テキストで配信しておられるのですが、労力の割に合理性がイマイチだ、と感じておられラジオ番組を検討してくださっています。社長の声が届かない、というのは大企業だけではなく、むしろ規模に関係なく起こり得ること。

ラジオ番組形式の社内報は理にかなっている、と導入を決めていただきました。

目的

①社長の声を届けたい

頻度 1本/月(予定)
運用のやり方

社員様とオフィスエンニチの高間がDJを行う。そこにゲストに来ていただく

コンテンツ

コンテンツをシリーズ化。

1wは◯◯

2wは〇〇

3wは〇〇

など。

聞き役が上手く引き出し、ドライブをかけることで社内ラジオの価値が出ます。そこに価値を感じていただき、検討してくださっています。

エンニチの社内ラジオで行っていること

企画

目的の設定は大事です。特に社内報は目標値を指定しづらいのです。大まかでも良いので、目標は立てたほうが良いと感じています。

よくあるのが、これ、何のためにやってるんだっけ、ということです。目指す着地点を明確にすることが実は重要ですね。

例えばエンゲージメントツールなどを使って社内ラジオ開始前の社内の温度感、空気感を測定し、●●まで引き上げることを目標にする、などとすると、行うことが明確になります。

エンゲージメントツールは Google フォームなどを使って自作をしたものを社内のアンケートで行うのでも良いでしょう。無料でできます。年に一度のエンゲージメント調査などでしたら無料で十分。

社内ラジオのDJとしての訪問収録

オフィスエンニチ では実際に訪問をして DJ をします。収録の様子のワンシーンです 。

なぜ私が出張して訪問DJをするのか 。それは、社内でDJを回すことが意外にハードルの高いことだからです。

社内ラジオの DJ に必要なスキルは、「好かれやすいこと」、次に、トークが上手というよりも聞き上手であることです。

ラジオはエンゲージメントのメディアであると思います。何回か聞いていたらあまり好きではなかったはずの芸能人を好きになっていたこと、ありませんか?

なぜだか自分に話してくれている気になるのがラジオです。この特性を活かし、会社に「この人、好きだな」をたくさん作るということができるのが社内ラジオのすごいところ。

社内ラジオを通して社員の人となりを知るというだけで、なぜだか好感度が上がる。これはすごい効果です。

そのためにはまずはDJが自己開示をし、本音を話し、多くの社員の共感を呼ぶ「聞かれる番組作り」をする必要がある。

「好かれやすい人柄」であることはそれだけでアドバンテージがあるということです。また、社内ラジオの DJ のトークで社内を引きつけても実は仕方のないことで、社員さんにインタビューをして社内のコミュニケーションを良くすることが社内ラジオの目的の一つです。
話し上手よりも聞き上手であることのほうが重要です。

編集

編集は聞いてもらいやすいラジオ番組を作るのに大事な要素のひとつです。
ボイシーのように知識をインプットことに特化した番組が多く集まっていますが、社内ラジオではその考え方がマッチしません。

社員への好感度・興味関心があがること、経営者への興味関心が上がり会社へのエンゲージメントが上がることを目的にしています。

それらを目的にした場合、不要なトークをカットしたり、より聞きやすく伝わりやすい番組づくりには編集が絶対に必要です。

BGMの製作

社内ラジオでは、著作権・著作隣接権上、問題が多く、音楽の使用は困難です。フリーのBGMでもよいですが、なかなか良いものが見つからないため、自作楽曲を使用することもあります。こんな感じです。

ジングルの製作

ジングルとは、10秒程度の短い音楽などのことを指します。
ジングルは音楽である必要はありません。社内ラジオなので、社員さんに何か喋ってもらい、それを録音するとよいてす。

オフィスエンニチのジングル制作事例

社員さんからの「お便り募集します!」のアナウンスを社員さんの声で収録。
いろんな社員さんの分、数パターン分作り、配信ごとに変える。
つまり、誰のアナウンスが流れるかわからない。

このジングル、実は社員さんに人気で、そこだけ巻き戻して聞く社員さんといるくらいです。社内ラジオを社内に浸透させるための施策としての好事例と言えます。

社内への配信

社内への配信に使用するツールはなんでも構いません。
社員さんがアクセスしやすく、受け入れてくれやすいツールを使用するのが良いです。

エンニチではサウンドクラウドや、マイクロソフトのTEAMSを使用した事例がございます。

統計情報を取れるので、どのくらい聞かれているのか、誰が聞いているのかわかります。
お金をかけると、さらに詳細なツールを使用することができます。

社内ラジオの事例まとめ

いかがでしたでしょうか。
社内ラジオは社内報としてのレベルを超える効果を発揮します。
是非、検討してみてくださいね。
また、コストをかけずに社内ラジオを始める方法についても、記事を書いているので併せてご参考にしてください。