この記事では、社内ラジオをはじめてみたい!という方向けに、あまりコストをかけずにはじめる方法をお伝えしようと思います。
この記事を一通り目を通していただけると、もやっていた始め方のイメージをある程度、明確にするができます。ではいってみましょう!
まずは機材
1万円台で始められるローコスト例
PCは既にあるものを使用する前提として・・1万円台でスタートできます。
以下のセッティングが必要な機材となるのですが、購入するものは「オーディオインターフェイス内蔵マイク」のみ。
編集ソフトは無料で超高機能なソフトがあります(後述)し、プラットフォームは開始当初から有料のものを使用しなくても方法はいくらでもありそう。

ローコストなコンデンサマイク
PCのUSB端子にプスッとさして、テーブルの真ん中に置いて複数人数でトークするスタイル、つまり1本で複数人数のお話を収録出来るということです。
どうです?この手軽さ!このマイクはコンデンサマイクという、集音能力の高いタイプです。手軽かつ安い!これはいいことづくめではないかー!
といいたいところですが、マイクの特性上、扱いづらいと感じるかも、な点(あくまでも私の主観)も書いて置きますね。
- 複数人数で話すと、声が遠くなってしまう(これはモードの切り替えも出来る)
- 部屋の空調の音や、窓ごしに聞こえる雑踏などもキレイに拾う
- 近づいて収録するとリップノイズと呼ばれる話すときの「くちゃ、ぺちゃ」などの音も拾いやすい(集音能力が高いが故です)
扱いづらさ、と書きましたが、音質が悪いということではありません。むしろ、集音性能が良すぎるくらいです。
「とりあえず」始めるには、これで十分。音はこんな感じです。私の尊敬するスーパーメンタルコーチつむちゃんのラジオです。blue yetiを使用しています。
指向性の選択ができる
更に補足すると、このマイク、指向性を選べます。指向性とは、どの方向から音を収音できるかという特性のこと。
- マイクの正面からの音だけ拾いたい
- マイクの周辺の音を全て拾いたい
- マイクの前後の音を拾いたい
- マイクの左右の音を拾いたい
4つのモードを選択出来るので、「周囲の雑音」を拾いたくない、2人でトークする声だけ拾いたい、というなら、
BIDIRECTIONAL mode(バイダイレクショナル)難しい呼び名ですが、つまり前後の音を拾いたいモードを選べばよいということ。

もう一度言うのですが、デメリット的な書き方をした部分は私の主観です。一人づつマイクを用意するほうがキレイに集音できる、という相対比較での感想と捉えてくだされば、と思います。
ちょっとこだわる機材例
レコーダーを使用した収録の方法

このセッティングは音質にこだわったセッティング例です。上記はオフィスエンニチで使用しているZoom F6という機材を使用した収録例です。
ちなみに、このZoom F6は素晴らしい機材。レコーダーなので、PCが不要なのが最高です(データはSDカードに保存されます)。マイクを挿せる上限は6本。つまり6人同時にお話できるという優れものです。
また、収録できる音の幅がとても広いです。たとえば、笑い声など突然音量が上がる場面でも音割れせずに収録が可能です。この機材については別途、記事を書きましたので、合わせてご覧くださいませ。

このセッティングはこの記事の中でもっとも機材にコストをかける方法かもしれません。その分、取り扱いし易いです。
これにマイクを3本用意すると、大体16万円程度になります。
社内への配信に必要なSound Cloudなどのサービスを使用すると、年間でプラス2万円程度費用がかかります。
PCとオーディオインターフェイスを使用した収録の方法
収録はオーティオインターフェイスという機材を通してPCに取り込む方法も。オフィスエンニチではずっとこの方法で行っていました。
私のように移動してお客様の会社をスタジオ化しないならば、この方法は、よい音質で音声を録音するスタンダードな方法かもしれません。
オーディオインターフェイス
オーディオインターフェイスはマイクの音声をPCに取り込む際に必要な機械です。下記のモデルは安価かつ、4本のマイクを挿すことができます。
ハイレゾ音質で録音が可能かつ、軽いため、持ち運びがめちゃ楽です。社内ラジオの音質にこだわるなら必要な機材でしょう。
ただし、配線がごちゃごちゃになりやすいのと、PCでのセッティングはそれなりに複雑です。デメリットも併せ持つものであることは理解しておいてよさそうです。

💦
https://allaccess.co.jp/audient/evo8/
ここまでの価格をまとめると
PCは既にあるものを使用する前提として・・10万円前後あれば十分なクオリティを担保できると思います。
2022年8月のサウンドハウスでの価格です。

改めて、それぞれのケースまとめました
コスト(ざっくりです) | 音質 | |
ローコスト例 | 1万円~ |
周囲のエアコンの音なども入る。 手軽な反面、聞き取りやすさは劣る |
ちょっとこだわる例 | 10万円~16万円程度 |
一人づつマイクを用意する。非常にきれいに集音できる。レコーダー単体の場合は屋外でもきれいに録音できる |
馬鹿にできない社内ラジオの音質
さて、社内ラジオの音質にこだわるのか。社内ラジオだから、多少歪んだりノイジーでも良いではないか!
という声が聞こえてきそうですが、以下の調査結果を見てください。音質がよいと、低音質に比べて、内容が重要であると感じられやすいということがわかっています。
Eryn J. Newman, Norbert Schwarzの2018年の研究
Good Sound, Good Research: How Audio Quality Influences Perceptions of the Research and Researcher
ということは、音質にこだわると社内ラジオの訴求力を上げることができるということです。
上記の観点から、機材は安価でもこだわるとメリットも大きい、ということがおわかりいただけると思います。
マイクやケーブルなどについてもう少し詳しく
マイク
私が使用しているのはこのマイク、Shure SM58。世界で最も売れているマイク。非常に使い勝手がよく丈夫。マイクの選択肢はたくさんありますが、最も売れているものは部品も手に入りやすいんです。

マイクスタンド
マイクスタンド。あったら便利かもしれませんがなくても問題ないです。マイクスタンドです。ちなみに、私は使用しておりません。笑っていいとものタモさんのようにマイクを持って収録しています
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/190852/
マイクキャップ
これは必須のアイテム。マイクのヘッド部分は唾液で汚れます。社内ラジオではマイクを使い回すことを考えるとマイクキャップは必須でしょう。

ケーブル
カナレというメーカーのケーブルが音質がよい、と言われています。ケーブルは短いほど音質がよく、高価になります。

PCに必要なスペックは?
収録の環境は整った。では、ここからは編集の観点から、PCのスペックを確認してみましょう。私のPC環境です。2019年に購入したドスパラのガレリアというPCを使用しています。
https://www.yodobashi.com/product/100000001004168609/
CPU:Core i7-8700
GPU:GTX1060 3GB
メモリ:16GB
SSD:240GB
HDD:1TB
今となっては決してハイスペックではないですが、十分に活躍してくれています。PCのスペックはCPUとメモリがポイントです。編集時の音声データのレンダリング(ファイル書き出し)スピードに影響するからです。
推奨スペック
CPU : core i5 以上(あくまで目安)
メモリ:16GB
ほしいところです。ちなみに、私のサブPCはノートPC、メモリ8GBのレッツノートですが、このスペックでは正直編集はしたくないです😵
レンダリングにものすごく時間がかかります。編集作業に時間がかかるのはできれば避けたいですね!さて、ここまでが用意する機材です。いわばハードの部分。ここからはソフトです。では、いってみましょう!
社内ラジオのDJ(パーソナリティ)を選ぶ
さて、いよいよ社内ラジオDJのチョイスです。社内にDJができる人がいる場合は、自社での運用が可能ですね。総務や広報部門の社員さんが行うのも良いですし、社長自ら行う会社もあります。
社内の人気になれるような人材がよいでしょう。必須の要素を挙げるとすると・・・
・好感度がある
社内ラジオは聞かれなければ意味がありません。社内の人気社員がDJを行うのが最もよい滑り出しでしょう。
しかし、心配は無用。
一人ではなく、2人体制でもよいわけです。二人体制はいろいろな意味で安心。トークに詰まっても、カバーできるし、二人なら社内への訴求力も上がる。


収録の様子はこんな感じです
社内ラジオ用のBGMを用意する
BGMをつける理由は3つあります。
・ブランディング(この曲がかかると、このコーナーなど変えないパートをつくることで番組を記憶にとどめてもらう)
・ノイズをマスクする(収録のノイズを隠す)
・番組に変化をつける(単調な話でも、音楽で変化をつけることができる)
という理由でBGMは馬鹿にできません。
MUSMUS(無料)
完全フリー、ロイヤリティフリーです。微妙なものも多いですが、コストをかけずにできる方法としてはこういうフリーサイトを使用するのはよい選択肢でしょう。
Artlist(有料)
こちらは月5000円くらいで使用し放題。もちろんロイヤリティフリーです。しかも超絶クオリティです。1ヶ月だけ契約して取りまくって解約する、などの方法もあるかもです。
社内に発信する媒体を選択する
正直、これは何でもありだと思います。社内報なので、社内向け。社員様が効きやすい媒体を用意してあげるのがよいです。
オフィスエンニチではSonudCloudを使用しておりますが、youtubeの限定公開機能を使用するのも良いでしょう。サウンドクラウドの画面イメージはこんな感じです。


SoundCloud年間の使用料は16000円くらいですが、他の選択肢としては、Miosoft Teamsを使用するなどの方法もあります。すでにある会社のリソースを使用することを検討するのも良いでしょう。
統計はどうか?
サウンドクラウドは統計を取ることができます。
取得できる統計は以下。
・聴取数(全体聴取数/個別エピソード聴取数)
・聴取者、また聴取回数
・トップ聴取ランキング
・聴取地域
ただし、サウンドクラウドにはデメリットも。ログインしていない状態でも視聴ができ、正確な統計取得がしづらい点があります。
会社支給のスマホで聞いてもらう場合、設定は総務で一括して行う等の工夫が必要です。
また、個人のスマホでも聞けるようにする場合はサウンドクラウドでは、誰が聞いているのか、掴みづらいです。
巻き込み、社内の空気づくりをする
さて、ここが一番の山です。
トップダウン型で「仕事の一部だからききなさい」とするのもよいですが、ここではボトムアップ型を想定。
まずは、仲間作りです。社内ラジオの仲間を増やしましょう。
この記事を読んでくださっている方は「テストで始めたい」と思っている方を想定。ですので、社内で
「社内ラジオ、面白いやん!」
という空気をつくることがとても大事です。
まずは仲間を増やしましょう。
「社内ラジオってやってみたいんだけど、どう?」
「おもしろそう!」
となってくれる方を増やすのです。20代の若手は音声メディアに明るい傾向にあります。
世代の7割以上が「音声コンテンツをよく聞いている、聞く機会が増えた」
株式会社Voicyが株式会社電通と共同で、「音声メディア利用」に関するアンケートを実施。
対象は200人のZ世代の現役大学生
2021年8月
「声」で企業の経営課題解決を支援するサービス「KOELUTION(コエリューション)」を展
開。
<KOELUTION導入企業の実績>
KOELUTION導入をした社員200人のアパレル企業では、
■ 放送を聴いて会社のことをもっと知りたいと思った 75%
■ テキストよりも、音声の方が会社や社員が伝えたい内容に共感できる 83%
と回答。
「放送を聴いて、素晴らしい社員がいるのだなと初めて知りました」
「次回の放送も楽しみに待っています。」
「わたしも放送やってみたいです!」
私も放送やってみたいですというのが最高だね、ラジオは動画と違って出演への心理的ハードルがとても低いのが特徴。そして自分の話を聞いてくれる人がいると言う気持ちよさ。
人間は話をした生き物なんです。しかし動画はちょっとハードルが高い、だけどラジオだったら気軽に出れる出てもいいかなっていう気持ちになりやすいんですね、きっと。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000220.000021111.html
台本を作ってみる
一人語りの場合、台本があったほうが無難でしょう。ちなみに、私は一言一句セリフを作っています。フリートークでなにもなしで話せる!
という自信がない限り、台本は用意すべきです。私はワードのベタうちです。
社内ラジオを編集してみる
編集はDawというソフトウェアを使用します。
Presonus Studio One5 Prime
フリーソフトとしては申し訳ないぐらい機能が高く、ものすごく音がよいです。

Audacity
こちらもフリーの編集ソフトです。こちらは上記のソフトより簡易ですが、凝ったことをしないなら十分使用できます。

https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/audacity/
編集の様子です
あとは配信し、反響をみましょう
さあ、編集ができました。あとは配信して、反響を確認して、チューニングしていきます。
楽しむことは最も大事です
社内ラジオは配信する人が楽しく進めることが最も大事。楽しさはリスナーに伝わるのです。
ボトムアップ型で社内ラジオを行う場合、楽しく進めるため、仲間作りがキーになるのはそのためです。
「私も出演したい!」
という人がでてくると、社内ラジオが社内報として、公式な市民権を得るようになりますぜひ、トライしてみてください!
ではまた!