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建設業における離職率と対策、じわじわと効く方法も

建設業界では、慢性的な人手不足と離職率の高さが業界全体の大きな課題です。本記事では、建設業における離職の実態と、その防止策について考察します。当社は社内の情報共有をラジオ番組を使用して行うことを専門に行う企業です。

日本初で、日本一の実績を誇り、日本一ニッチな業態ですが、他にはないマニアックな情報をお届け致します。離職防止策としての新たな視点を提供致します。それではみていきましょう。

建設業における離職の実態

厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果」​によると、産業別離職率は以下のようになっています。離職率が最も高いのは圧倒的に宿泊業、次いでサービス業、生活関連サービス業・娯楽業。建設業はずいぶん地味に見えます。

引用元:
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf

しかしながら、入職率を離職率が2%以上、上回っています。これはきついでしょう。建設業は若年労働者の入職が多い産業。卒の10代の若者も働く産業であるという部分が他の産業にはない特徴です。

以下は「この職業で実際に働いている人が多いと感じる学歴」について。どの程度、若年層が多いのか?に関する調査です。

中卒:16.7%

高卒:64.6%

引用元:https://gaten.info/career/kensetsugyo-chusotsu/

このデータが実態を正確に表しているとは思えませんが、中卒・高卒の若年層が多い業界であることは間違いないでしょう。

若年層が多いと、離職率が高くなるのは当然でしょう。学校の先生や、親に言われて就職するケースが多いからです。

令和3年10月22日厚生労働省の別のデータによると、そもそも中卒の3年以内離職率は50%を超えています(全産業)

新規学卒就職者の就職後3年以内離職率

【中学 】 55.0%

【 高校 】 36.9%

【 短大など 】 41.4%

【 大学 】 31.2%

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11652000/000845829.pdf

建設業の学歴別の離職率はこんな感じでした。

中卒者の離職率

そもそも、中卒の就職者自体が少ないため、グラフがありませんが、全産業の中で最も中卒離職率が高い製造業に次いで離職者が多いのが建設業でした。

高卒者の離職率

令和3年で33%。離職率はすこしづつ下がってきているようです。業界全体で努力をされている結果と思われます。

引用元:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001158634.pdf

大卒者の離職率

令和3年は22%。こちらも、少しづつ下がっていますが、20%を超える水準。

実態としては、若年層の離職率が業界全体の離職率の高さに反映されているようです。では、離職の原因について見ていきます。

離職の原因

建設業における離職の原因は多岐にわたりますが、以下の点が主な要因とされています。

1. 労働環境の過酷さ

建設業は、肉体的な負担が大きい職種が多く、長時間労働や厳しい天候条件での作業が日常的です。とにかく、きつい。ここ数年の酷暑での作業はそれはきついものがあります。若年層が早期に離職するのも合点がいきます。

2.将来が描きにくい

建設業界では、明確なキャリアパスが示されないことが多く、将来に対する見通しの悪さが離職率を高めている要因の一つでしょう。

特に中卒・高卒者にとっては、ロールモデルとなる人の存在がいない場合、長期的なキャリア形成が難しく感じることが少なくありません。

3. 職場の人間関係

人間関係も離職の要因です。建設現場では、チームでの作業が多く、円滑なコミュニケーションが求められますが、これがうまく機能しない場合、職場環境に対する不満が募ります​。怒鳴り声もしばしば飛び交う建設の現場。昔ながらの荒い気性のベテランさん達も多いと聞きます。

離職防止のための具体的な対策

離職防止のためには、短期施策と長期施策で、働きやすい環境を整備することです。ここでは、効果が出やすい施策をいくつか紹介します。まずは国の方針から。

建設業の人で不足を解消するための国の方針

国土交通省が打ち出しているのが新3K。給与・休暇・希望の3つです。建設業で働く方の給与と休暇(つまり待遇)を改善し、希望を持てる職場作りは例外なく、全ての建設事業者様にとって、必須と言えそうです。

引用元:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mlit.go.jp/tec/content/001368311.pdf

この大方針に沿って取り組みを行うのが良さそうです。

1. 【短期~中期施策】労働環境の改善

まずは、労働時間の短縮や安全対策の徹底を図り、労働環境を改善することが重要です。

i-construction(デジタル技術を活用した建設プロセス)の導入を積極的に進めることや、福利厚生の充実、休暇制度の見直しなどが含まれます。

建設業は危険と隣合わせの世界。不幸にも死亡者もでることがある大変な業界です。作業中の安全が確保できる現場づくりは離職率を下げていく目に見える待遇改善となりそうです。

とはいえ、難しいことからスタートするのはタイへンです。給与・休暇の充実など、理論値をはじき出すのは簡単ですが、変えるていくのは短期~中期の取り組みとして腰を据えて取り組みたいです。

2. 【中期~長期施策】キャリアパスの明確化

従業員に対して明確なキャリアパスを提示し、成長機会を提供することです。先ほどの新3Kの「希望」に当たります。

「この会社で、この業界で働いてこんな未来を手に入れたい」という希望を描けるような施策を指します。とはいえ。10年先の未来を明確に描ける人は少ないです。5年先の自分ですら簡単ではありません。

しかし、目先のスモールステップのキャリアアップなどはモチベーションに繋がります。人事制度を導入したり、改定することで社員のモチベーションを上げることに繋がることはアリそうです。

しかし、説明と納得を得るは重要です。人事制度ほど、社員にとって理解しづらいものはありません。なんども粘り強く説明の場を設け、社員に丁寧に語りかけていく人事の姿勢はとても大事なポイントになります。しっかり、真摯に接することで中長期的に社員の離職率を下げることは可能です。

3. 【短期~長期の取り組み】コミュニケーションの活性化

職場内コミュニケーションを活性化することも、離職率を下げる効果があります。というより、これがもっとも効果的かもしれません。

職場内コミュニケーションでもっとも重要なのは上司とのコミュニケーションです。ここがコケると職場生活は最悪なものになります。

対上司・対部下のコミュニケーションがうまくいくための施策は以下です。

  • 1on1ミーティング
  • セルフキャリアドック
  • 社内ラジオ
  • タレントマネジメントシステムを導入

それぞれ、奥が深い施策です。最も効果が分かり易いのは1on1ですね。上司と部下が一対一でじっくり話して、信頼関係を醸成する機会を作るはずが・・・

「部下とじっくり話したことがないので何を話したらよいのかわからない」

「改めて向かい合うと、自分ばかり話してしまう」

「ついつい部下の話にアドバイスをしてしまう」

1on1用のアプリまである程ですから、難しさも多い施策です。しかし、仕事の基本は人と人。上司も部下側もしっかりコミュニケーションを取りましょう。

社内ラジオ

当社では、社内ラジオを活用し、従業員同士のコミュニケーションを促進しています。仮に離職を考えたとしても、ラジオで他部門の様子や、人の考え方などをうっすらとでも知っていたらどうでしょう?

異動の可能性に考えが及び、一歩踏みとどまる抑止力になるはずです。

考えられるネタのアイデアは以下です。

  • いろいろな部門や人の紹介
  • 若手のキャリアの悩みを取り上げ、会社の課題として紹介
  • その悩みを乗り越えたベテラン社員にゲストインタビュー

将来が描きにくい、という声にはベテランの声を届けるのはどうでしょう?

自分が悩んでいたり、希望が持てない状態を同じように経験し、乗り越えたロールモデルの話は勇気づけられます。社内報施策は長期的な施策としてじわじわと機能するでしょう。

まとめ

建設業における離職率の低下は、業界全体の課題です。労働環境の改善、明確なキャリアパスの提供、そして職場内のコミュニケーション強化が鍵となります。当社の取り組みである社内ラジオの活用は、効果的なコミュニケーション手段として、今後の建設業における離職防止に大いに役立つでしょう。

建設業界が持続的に発展するためには、若年層を中心とした従業員の定着を図り、安心して働ける環境を整えることが急務です。離職防止のための取り組みを強化し、業界全体で取り組んでいく必要があります。

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