組織の活性化、やる気を高めるためのある方法の侮れない効果
さあ仕事を頑張ろう!というやる気(モチベーション)を掻き立てる要素とはなんでしょうか?
あなたは何にモチベーションを感じますか?
実は、人間のやる気を高めるには、小さな達成感が重要であることが実験によってわかっています。組織も同じ。小さな達成感はとても重要です。一緒に見ていきましょう。
Contents
実験によってわかった、やる気と達成感の関係
イェール大学リチャードバックマン博士とエドワードローラー博士の調査
ある大きな電話会社の従業員208名に対してやる気を測定しさまざまな要因との関連を調べるための9ヶ月間の調査を行いました。
その結果、 モチベーションと関連していた項目 TOP 3は以下の通り
- 達成感 0.45
- 職務満足感 0.39
- 職務への関与の度合い 0.39
数値は相関係数、1に近いほど相関が高い
Hackman,J.R.&Lawler.Ⅲ,E.E.1971 Employee reactions to job characteristics.
Journal of Applied Psychology,55,259-286.
組織のやる気を高めるコツ
達成感を感じやすい人事制度の例
組織で、社員がこまめに達成感を味わうためには、何が必要なのでしょうか?たとえば、早い昇格などはその代表例かもしれません。
昇格の段階が細かく設定されているとキャリアの天井が早い段階で見えてくるということ。運用次第では、離職可能性は高まるでしょう。細かくすると即、離職率が高まるということではありません。
昇格が早いと、達成感を味わう回数が増えます。昇格は「小さな」達成感、とは言いにくくはあるものの、言いたいことは以下です。
「よし、やった」
と思える回数をなるべく多く感じることがやる気を持続するコツなんです。
組織の人事制度の仕組みは運用とセットですから、昇格ピッチを細かくして、歩合給の割合を高く設定するのは、営業主体の会社で有効です。とにかく若くて元気な社員が頑張る組織などをイメージするとわかりやすいですね。
小さな達成感をこまめに味わわせる制度はやる気を高くキープしやすいのです。
目標が明確だとやる気を高めやすい
先日、訪問した会社の例がとてもおもしろかった。こちらの会社様は営業社員の売上がデイリーで入力され、公開されています。
それを社員全員が見ることができる。
会社全体の売上がどの程度目標達成しているのか、また、個人の売上の額も全てわかるわけです。
「うわ、怖い」
と思うでしょう。私もそう思いました。しかし、目標値がこの上なく明確であることはやる気にもつながるわけです。
向かう方向がシンプルであることはやる気につながるのです。また、この会社様は運用が洗練されている。売上が低くても、個人を攻撃しないのです。他の部署が頑張る、という文化ができている。
責められることもない。社員は温かい人が多いそう。
数字で厳しさを感じ、人が暖かさを感じさせる。とてもバランスの取れた会社で、今年、売上が好調に付き、上場を果たしました。
じつはこの、明確な目標設定はやる気を高めることも実験によってわかっています。
バーゼル大学の実験。
スイスに住む973人の被験者に、10の分野の人生目標の重要性と達成の可能性を4段階で評価してもらいました。参加者の半数以上に対して、2年後、4年後に再調査しました。
- コミュニティ
- 名声
- 家族
- 健康
- イメージ
- 個人の成長
- 若い世代に対する責任/ケア
- 社会的関係
- 財産
- 仕事
現実的な目標を立て、達成できると考えていた参加者は、数年後の再調査で、認知面でも感情面でも満足していると回答しました。
つまり、目標をコントロールでき、達成可能であると感じていると、人生に満足を感じやすいのです。
このことから、途方も無い目標を立てるより、小さくても、「達成できるぞ」と感じられる目標はやる気を高めるコツです。
しかし、数値で測定しにくい仕事もある
総務や人事、広報など、数値化しにくい仕事もあります。バックオフィス系と呼ばれる分野です。
この分野は難しい。達成度合いが測定しにくく、やる気を高めにくいのです。ここは工夫のしどころなのですが、こまめなコミュニケーションでしょう。
コミュニケーションで
「達成したな」
「もうすこしだな」
など、確認しあって仕事をするのが実は上手く回る方法。拍子抜けするほどシンプルですね。しかし、心理的安全性が担保されており、
「仕事はしんどいけど、人間関係がよいから楽しい」
と感じられる組織では人は辞めにくいです。逆にバックオフィス系で人間関係がギスギスすると最悪の組織になります。参考になれば幸いです。
本日は組織のやる気を高めるためのコツについての話でした。ではまた!