社内ラジオは社員が自由に語れる場、効果を問うのはナンセンスだ
社内ラジオは、社員に向けた情報発信やコミュニケーションの場を提供する自社オリジナルのメディアです。オウンドメディアというのでしょうか。
「どういう効果があるんだ?」
「KPIは?」
まず聞かれますが、社内ラジオは会社が社員に対して発信するメディアです。「心のインフラ」なのです。
効果、KPIも大切ですが、オフィスがある、机がある、PCで仕事ができる、などと同じレベルのインフラと捉えると良いでしょう。
この記事では、社内ラジオの本質と可能性について言及します。
Contents
1. 社内ラジオというインフラを持つ意味
社内ラジオの導入には明確な目的が必要だと言ってきました。しかし、目的よりも「社内ラジオというインフラを持つ」という意義にも目を向けてみましょう。
インフラの本質は「場」
社内ラジオは、自社が社員に対して発信するための「媒体」を持つことを意味します。地域の公民館、マンションの集会所。この場がないと、集まれません。それと同じ。皆が話をし、考えを発信するための場であると捉えるとどうでしょう?
使い方は100社100通り
社内ラジオの魅力は、どのように活用するかは企業次第。
例:
- 若手社員の研修の場として活用
話し方や企画力を磨くトレーニングの場として。失敗しても売上に影響しません。 - 社内の人材を発掘して共有する場
部署間の交流を深めるために社員のストーリーを発信。
コンテンツに頭を悩ます前に、ラジオという媒体の本質に目を向けことをしてみてみるとよいかと思います。
2. 刑務所のラジオが示す「場」
刑務所においても受刑者向けのラジオ放送が行われていることをご存知でしょうか。しかも歴史も古く、1930年代には、受刑者の更生を目的としたラジオが放送されていた記録があります。
刑務所ラジオの歴史
1960年代は職員が発信する形式が主流でしたが、次第に受刑者自身が発信を行う施設も現れました。
こちらは愛知県豊田市の「コウセイラジオ」。一般の方も聞くことができる番組です。
以下は自身も受刑した経験のあるhiphopアーティストであるAK-69さんが少年院を訪問した際に語った内容です。心が震える内容です。受刑されている方の心も大きく揺さぶられたことでしょう。
受刑者は全員が「出所」という夢を持っている。受刑者に寄り添い、肯定的に語りかける形口は間違いなく、受刑者を癒やし、勇気づけることでしょう。
場があることは自己を表現できるということです。富山刑務所では、730ナイトアワーという番組が配信されているそう。
「今月のテーマは『大好物』」としてテーマを出すと、受刑者から200文字制限という縛りはあるものの、お便りが届くそう。
「私の大好物は妻の手料理全てです。妻に対して照れがあり、おいしいよ、などと言葉をかけていません。帰ったらこの思いを伝えたいと思っています」
おもしろおかしくやるだけではなく、心を表現する場があり、それを聞いて自分に重ね合わせる他の受刑者がある。このプロセスは自己と向き合い、対話するきっかけを作っていると思います。
3. 社内ラジオが社員に与える「癒やし」
社内ラジオもまた、社員にとって自己表現の場となります。自分の考えや気持ちを言葉にし、他の社員に聞いてもらう経験は、自己理解につながります。
自己と向き合う場
社内ラジオを通じて発信することは、自己と向き合うきっかけになります。「普段は考えないことを言葉にしてみる」「自分の意見を形にしてみる」といった経験は、必ず新たな発見をもたらします。
他者の声を聞くことで生まれる共感
ラジオで他者の物語や意見を聞くことも重要です。他者の感じていることに触れることで、共感がうまれることがあります。他者に自分を重ね合わせる経験は自己の再発見です。
4. 社内ラジオが生む効果は「場」の使い方次第
社内ラジオが持つ可能性は無限大です。様々な使い方があります。
1. 会社の雰囲気づくり
雑談や社員同士のトークを交えることで、会社の雰囲気づくりをしていくツールとして社内ラジオは強力です。
2. 声を届けるツールとしての活用
もちろん、社員の意見、気持ちを番組で取り上げることは社員のための場となります。
5. まとめ:社内ラジオは「社員の心のインフラ」
社内ラジオは社員にとっての「心のインフラ」として、自分と向き合う場となる。また、他者の話を聞くことで、他者の経験を追体験する場でもある。プロパガンダのために利用しても社員は聞かない。効果を問うのは実はナンセンスです。