社内ラジオは情報を伝えると失敗する!?情緒を伝えるツールであると心得よう!
「社内の情報を届けるツールとして社内ラジオはいいかも知れない」と考える企業が増えています。
実はこの考え方が失敗の原因になることがあります。社内ラジオは、動画やメールとは異なり、情報を正確に伝えることが得意なツールではありません。
ラジオが本当に得意とするのは、「情緒」を伝えることです。
話し方から感じる優しさ、職場の空気感。上司部下の会話の雰囲気、普段みることのない社長の一面。
動画全盛の時代ですが、社内ラジオが持つ独自の魅力と、情報ではなく情緒を届けるためのポイントについても触れていきます。
Contents
社内ラジオは「情報を伝える」ツールではない
よく社内報の手段として比較されるのが動画です。
動画は視覚的なインパクトが強く、短時間で情報を的確に伝えられる便利なツールです。しかし、動画を制作する現場では、「どうしたら社員に見てもらえるか」と頭を悩ませることが多いのではないでしょうか。
再生回数を上げるために、動画の長さを短くし、内容を簡潔にまとめ、効果的な編集を重ねるなど、涙ぐましい努力をしているものと推察します。これが、ラジオにはありません、というつもりはないのですが、社内の情報合戦に巻きこまれにくいものと思います。
なぜならば、社内ラジオは「情報の正確さ」よりも「会話の楽しさ」や「温かみ」を届けることを得意としています。
少々の言い間違いや言葉の選び間違いさえも、かえって自然で親しみやすい印象を与えるのです。
出演者の人柄が伝わると、ファンができます。短くしたり、サムネイルで気を引かなくてもファンなら聞いてくれます。
情報を伝えることに重点を置きすぎると、ラジオならではの良さが失われてしまいます。ラジオは「情緒を伝えるツールである」と心得てこそ、その魅力を活かすことができるのです。以下は比較表です。
項目 | 動画 | ラジオ |
メリット | ・感情に訴えやすく、インパクトがある。 ・複雑な内容を分かりやすく伝えられる。 つまり、情報伝達に優れている | ・視聴者がなにかをしながら聞くことができる。つまり軽い! ・親近感を生む温かみのある伝達が可能。 ・比較的低コストで制作可能なので続けやすい |
デメリット | ・制作コストと時間がかかる。 ・長い動画は視聴離脱率が高い。 ・視聴する側が疲れやすい。 | ・音声のみでは情報量が限られる。 ・再生環境に依存(音声が聴きづらい職場では効果減) |
こんなシーンに適している | 情報を伝えたい ・情報としての正確性や詳細を伝えたい ・イメージを向上させたい ・ビジュアルを伴う説明が必要な場合。 | 情緒を伝えたい ・職場の空気感を伝えたい ・人柄の温かみを伝えたい ・リーダーのメッセージやストーリー、情熱を伝えたい ・移動中や作業中に聞いてもらいたい |
情緒を伝える社内ラジオの魅力
ラジオは、出演者の声や会話を通じて「人間らしさ」や「温かさ」を伝えるのに適しています。
たとえば、食事中に人の話し声を聞きながら食べると食事が美味しく感じられる、という研究もあります。
声を通じて心地よい感情や雰囲気が伝わり、一人で食事していても、孤独感を感じなくなる可能性も指摘されています。
社内ラジオでも同じことが言えます。たとえば、こんなテーマはラジオの内容に適しています。
社長やリーダーが普段見せない人柄や趣味を楽しく語る
上司や同僚が、仕事の裏話や失敗談を面白おかしく共有する
部署ごとの何気ない日常や「こんなエピソードがあった」という小話を楽しく話す
台本をよむのは最悪。
「正しい、正しくない」ではなく、リラックスした雰囲気作りはラジオ運営のコツです。
社員がふとした瞬間に「聞いてみようかな」と思えるラジオ番組は、職場の雰囲気を明るくし、社員同士の距離を縮めます。
情報より情緒。ゆるさが鍵
現代の動画コンテンツは、短時間で多くの情報を伝えるため、どんどん意図的に作り込まれたものになっています。
それに対して、ラジオは長いですよね。20分程度の番組は本当に聞いてもらえるのかという心配もありますが、心配は無用。
情緒、温かみ、人柄、雰囲気を知りたい、聞きたい、感じたいと思っている相手は20分では短いとすら感じます。
出演者が言葉を間違えたり、笑い合ったり、話が少し脱線したりすることが、ラジオに独特の親しみやすさを与えます。
ラジオは、会社の一員としての親近感や、「この会社で働いていてよかったな」という感情をじわじわと醸成するツールと言えるでしょう。
社内ラジオを成功させる現場づくり
ラジオを魅力的にするには、現場の雰囲気づくりが欠かせません。出演者が楽しみながら話せる環境を整えることで、自然な会話や笑いが生まれます。
以下のような工夫を取り入れるのはローコストかつ、誰でもできます。
飲み物やお菓子を用意:リラックスした状態で会話ができるようにする。
カジュアルな服装で出演:堅苦しい雰囲気を避けるため、できるだけ自然体で。
話題選びは幅広く:台本に頼りすぎず、その場の流れで話が脱線するのを許容する。
「一発勝負のライブ感」もよいですが、収録で、編集を前提にするとラックスしてもらいやすいです。
まとめ 社内ラジオと動画の違いをおさらい
動画が「視覚で魅せるツール」だとしたら、ラジオは「耳で感じるツール」です。再度、おさらいです。
情報を伝えたい
・情報としての正確性や詳細を伝えたい
・イメージを向上させたい
・ビジュアルを伴う説明が必要な場合。
情緒を伝えたい
・職場の空気感を伝えたい
・人柄の温かみを伝えたい
・リーダーのメッセージやストーリー、情熱を伝えたい
・移動中や作業中に聞いてもらいたい
動画が短時間で多くの情報を効率的に伝える一方で、ラジオはじっくりと「情緒」を届けるメディアです。ラジオに動画と同じ正確さや情報量を求めてしまうと、本来の魅力を損ねます。
ラジオならではの良さを活かすためには、「社内の空気感を柔らかくする」「社員同士のつながりを深める」といった情緒的な目的にフォーカスすることが重要です。
「情緒」を伝えることを意識して運用することで、社員の心を動かし、職場全体の空気を明るくする力を帯びてくるのです。
ぜひ、社内ラジオを企画する際は、出演者が楽しく話せる雰囲気を作り、温かみや面白さを届けることに意識してみてください。
ゆるくて楽しい会話の中にこそ、社員同士の信頼や親近感が生まれます。動画では伝えきれない「情緒」を伝えるツールとしての活用こそ、社内ラジオの真価でしょう。