心が動くと奇跡が起きる、スターバックスジャパンを成長に乗せた男
先日、スターバックスジャパンを成長させた方にお話を伺う機会がありました。簑口 一実(みのぐちかずみ)さん。タイトル通り、スターバックス創業時から550店舗までを開発した方です。
Contents
経歴はこちら
1997年〜2004年 スターバックスコーヒージャパン執行役本部長
2004年〜2007年 株式会社西友 開発部門 執行役シニアバイスプレジデント
2007年〜2010年 株式会社チャヤ マクロビオティクス 代表取締役社長
2010年〜現在 株式会社Diversity Management 代表取締役社長
華々しい経歴です。しかし、この記事で伝えたいことメンバーの心が動いたら、奇跡が起こるということを伝えるのがこの記事です。
旅の始まり
大学卒業後、不動産ディベロッパーの会社に就職。そこで偶然読んだ坂本龍馬の本に感銘を受け、「命をかけて何かを成し遂げる」決意を固めます。
社長に直談判してアメリカへ渡ると、円高という時の運にも恵まれ、不動産投資で成功。その後、26歳で独立し、事業を拡大。30代で会社をバイアウトするという輝かしい人生の前半戦を歩みました。
スターバックスとの出会い
会社売却後、少しゆっくりしよう、としていた簑口さんに、銀行の支店長が「スターバックスが日本進出を計画している」と話を持ちかけます。
そこで、知人であるビバリーヒルズのレストランオーナーが、偶然スターバックスのオーナーとなっていたことが判明。
「あれ、〇〇さん、どうしたの?」
「実はスターバックスのオーナーになったんだよ」
なんという偶然でしょうか。蓑口さんはその時のことを振り返り、こう語ります。
「儲かる話は必ず損してきました。面白そうだな、と感じた仕事はうまくいきました」
報酬は決して高くなかったといいます。しかし、「面白そうだな」と思ったそう。その心にしたがって、スターバックスの日本展開に関わることになりました。
怒涛の勢いで店舗開発
餅は餅屋。彼が行ったのは、不動産を選定して、店舗を実際に作ること。550店舗まで怒涛の勢いでした。
開発した店舗は売上も好調。当時の世界のスターバックス店舗の売上トップ50店舗のうち、40店舗前後は日本だったようです。
開発での実績と売上の実績の両方を成し遂げた彼は、創業者のハワード・シュルツと直接話す機会も多かったようです。
ハワード・シュルツとの対話
創業者との会話で印象的だったエピソードを語ってくれたのが以下。
「うちの〇〇にかかれている『グレートカンパニー』てのは正直、ちょっとダサいですよね」
「競争相手と比較して優れているというのは『ベターカンパニー』だ。本当の『グレートカンパニー』は、自分たちの理想を追求し続けることだ」
この言葉は、簑口さんの心に深く刻まれたようです。目指す方向性が明確になった瞬間です。
※蓑口さんが在籍した当時のスターバックスの企業理念やミッション・ステートメントには「グレートカンパニー」という表現があったようです。(現在は見つけることができませんでした)
店舗開発と運営を両立
簑口さんは、店舗開発を進める傍ら、店舗運営の責任も負いました。開発と運営は異なるスキルが求められる仕事ですが、彼はリーダーとして、ミッションやビジョンをメンバー一人ひとりに浸透させることを重視しました。
- メンバーとの頻繁な対話
- 自分の言葉でミッションを語れる人を育てる努力
これらの取り組みが、本当にパートナーの心を本当に動かした。一人ひとりの心を動かしたんだと思います。
人の心を動かすのは命を持つ言葉
以下はスターバックスジャパンのHPに掲げられているミッションです。
企業が掲げるミッションやビジョンは、しばしば抽象的で、心を動かすには至りません。しかし、簑口さんの言葉には、彼自身が強固に信じている信念のようなものを感じました。
上記、ミッションも彼が語ると命を吹き込まれ、生き生きとしたものになったはず。パートナーたちの行動を促すとなったことが推察されます。
イキイキと働くパートナー
スターバックスでは、厳密なマニュアルはなく、「サードプレイスを創る」という理念に基づき自由な発想が奨励されています。
- ニューヨーク店舗での地元アート展示
地域アーティストの作品を販売する取り組みは、利益よりも地域とのつながりを重視した例です。店舗がもらうマージンはゼロです。 - コーヒーセミナー
女性会社員が多い店舗での講座も、創意工夫が顧客との関係を深める結果を生みました。懸念を抱えながらも試みた結果、2000円もする豆が飛ぶように売れるようになったそうです。
心が動いた社員が増えるとグレートカンパニーになる
退屈を感じる職場ではなく、アイデアを実践できる環境はリーダーやパートナー同士の対話から生まれている。これが顧客体験を向上させる結果につながっているものと思います。
社内に心が動き、ワクワクしながら働く人が増えるとグレートカンパニーが出来上がる。それを実現している。シンプルですが、これを実現すると、世界レベルにまで広がっていくものだと改めて思いました。
だから、ミッション・ビジョンは強力な力を持つものなんだ、大事なんだと改めて理解しました。
社内ラジオは心のインフラだ
当社は社内ラジオを通して社員が楽しく働くことができる会社を一社でも増やすことを目的にする会社です。
命を持った言葉はとんでもない力がある。それを通わせるインフラが社内ラジオだと考えています。
まとめ
蓑口さんの言葉とエピソードは確かに力があった。多くの人の心が動くと奇跡のようなことが起きます。
社内ラジオは心を届けるインフラです。情報を届けるツールとして捉えず、心を届けるツールとして取り組むと、グレートカンパニーを実現できる。そう信じさせてくれるお話でした。